栗原市の特徴的な建造物である「長屋門」を宿泊施設化することを目的として、2020年3月にスタートした「長屋門ステイProject」は、地域資源としての長屋門を守り、次世代へと残す取り組みでもある。
当時、すでに取得していた長屋門の活用法を思案していた「くりはらツーリズムネットワーク」と、建造物の歴史的、文化的な価値を研究していた東京大学の「林憲吾研究室」とがジョイントして発足した。
かつては米の貯蔵などに使われ、家主の経済力を表象した長屋門だが、文化財としての保存は望まれつつも、現代の生活様式では維持も活用も難しいのが実情だ。
「長屋門ステイProject」はこの課題に対し、景観保存と経済合理性の二兎を得る解決策として、宿泊施設へのリノベーションを提示した。
茅葺きの屋根や石場建ての基礎など、長屋門の歴史的景観は保存しつつ、経済的な持続可能性も導き出すという、バランスとセンスが求められる綱渡りだ。
研究機関や一般企業の単独では為し得ない取り組みだが、産学連携のシナジーでプロジェクトは進行中。基本設計が終わり、着工が待たれる段階だ。
💡協働のヒント
・強み×強みで新たな価値創出を可能にしているのは、社名に冠された通りの「つながり」を生む力。
(取材・文:市民ライター 内田 夏彦)